2人が本棚に入れています
本棚に追加
「名字は武田って…もしかして唯ちゃんの…」
「唯は俺の妹だが、友達か?」
「中学の時一度同じクラスになりました。それに一人ぼっちでイジメにあってた私を助けてくれたんです」
「まぁ、あいつらしいわな。何にでも首突っ込んでいくタイプだから見てるこっちはひやひやしてた」
「それ、わかります」
しばらく走り、目的地に着く。
「ちっ…やっぱ市街地となると結構多いな」
目の前にはショッピングモールがありその周りにゾンビが群がっていた。
「あそこに逃げ遅れた人がいるんですかね?」
「いや、助けがくるまで籠城しているってのが正解かもな。車を乗り捨てるように入口に停めてるだろ。食料はあるし水もある…ただし…一度突破を許せば…ライオンの檻の中だがな…」
「なるほど…」
「にしても車で逃げようとした奴が乗り捨てた車が邪魔だな」
ショッピングモールの反対側にある会社の前には渋滞中に襲われたのか、車がひしめきあっており容易に近づくことができない。
「美妃ちゃんはここで待ってな」
「で、でも!」
「大丈夫だから……たぶん」
「たぶんって何ですか!?私は琉斗さんの心配を…」
琉斗はカギをかけるように言うとナイフと、軽トラにのせていたバールを手に会社に向かう。
車の間を通り抜け百メートル程進む。会社の周りは金網のフェンスに囲まれており有刺鉄線まで張り巡らされていた。
門の所まで行くと南京錠をバールで壊し中に忍び込む。
色々な車両が並んでいるが狙っているものはなかなか見つからなかった。
「まだ奥か」
先に進むと事務所近くに置いてあるのが見えた。黄色に塗装されたホイールローダーである。近くによりドアを開けようとするがカギがかかっていた。
最初のコメントを投稿しよう!