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事務所のドアに向かいスキマにバールをねじ込み開けようとするが無理であった。
「ふ~…っ!?」
足元に影がよぎり慌てて後ろを振り向くとゾンビが琉斗に襲いかかろうとしていた。
「まずっ!?」
その時、ゴン という音とともにゾンビの首があらぬ方向にねじ曲がった。
ゾンビが倒れ後ろから現れたのは、巨大なハンマーを降り下ろした美妃であった。
「だ、大丈夫…ですか?」
「助かった…俺には美妃ちゃんが女神に見える…」
「よかった。琉斗さんを追うようにこの人が入っていくのが見えたんで。門は一応閉めてチェーンを巻いてきました」
倒れたゾンビを見ると体は動かないが口だけをパクパクさせていた。
「まだ死んでない!?」
「なるほどね…さぁ美妃ちゃん、こいつに乗って逃げるから一緒に鍵を探すよ」
美妃は琉斗が示した車両を見る。
「…大きい…」
「やべ、なんか興奮した」
「はい?」
「なんでもない…」
琉斗はこじ開けるのをやめ、窓ガラスを割り鍵を開ける。
「さてさて…意外に無用心な会社だな」
入口横に板がかかっており、駐車場の並びに鍵がかけてあった。
鍵を取るとホイールローダーに向かい乗り込む。エンジンはかけずにACCに入れ燃料計を確認する。
「どうですか?」
「バッチリだが…燃料が心配だな。一応満タンだけど燃費悪いし…。確かこのクラスになると一時間に約十二リットル位消費するんだったかな…」
携行缶だけでは心配になってきた琉斗は辺りを見回す。
「…あった」
琉斗は事務所に入りフォークリフトの鍵を取ると、フォークリフトに向かいコイルを余熱し始動する。
そして端っこに置いてあったドラム缶に向かい中を確認、空のドラム缶をパレットに載せた。
そして敷地奥にある給油場所に向かいドラム缶に注ぎ、満タンになったら蓋を閉めホイールローダの横に持っていく。
「どうするんですか?」
「このサイズのホイールローダには乗る際の踊り場があるからそこに載せて縛って固定する。美妃ちゃんは外の蛇口から緑色のホースを取ってきて」
「はい!」
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