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「最悪だ……この世の終わりだ……」
目の前には気になっていた女性がいた。
しかし今はピクリとも動かず地面に横たわり、頭部から溢れた血が広がっている。
「なぜ…なぜ、こうなった…。お、俺は悪くない」
自問自答をするが目の前の死体が視界に入る度に思考が追いつかず、体が震える。
手にしていた鉄パイプを捨て地面に座り込み頭を抱える。
始めて人を殺めたことに恐怖に襲われ動くことすらできない。
ズ…ズッ…ズッ…
何かが擦れる音に顔を上げると、そこには殺めたはずの女性が立ち上がろうとしていたのだ。
「ひっ!?」
女性は呻き声をあげながら両手を前に突き出し歩いてくる。
「何で!?何でだよ!うわーっ!!」
逃げるべく慌てて手足を動かし立とうとするが、自分の体がいうことをきかないのか、足を何回も滑らせ四つん這いで逃げていく。
「はぁはぁはっ」
必死に逃げ路地の出口に着いた。来た道を振り返ると女性がゆっくりと追いかけてくる。
「…何だよ…」
女性の目は白眼をむき、白い服は赤く染まっていた。
何とか立ち上がり出口から一歩出た瞬間、目の前には大量の人で塞がれていた。皆白眼で体のいたるところから血を流していた。
「…最悪だ………ギャー!!……」
腕を引かれ人ゴミの中で押し潰され、いたるところを噛み千切られ絶命した。
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