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『…番組の途中ですが……』 昨日の夜からつけっぱなしのテレビからニュースが流れていた。 「ふぁ~ぁ……朝か……。今日の講義は昼からだったよな…今何時だ?」 武田琉斗は時間を確認しようと、枕元にある携帯に手を伸ばす。 すると携帯の画面にはたくさんの着信履歴とメールが届いていた。 そのほとんどが隣の県にある実家にいる家族からだった。 とりあえず琉斗は着信の一番上にあった母親に電話をかける。 「……もしもし……うん……大丈夫だけど……はぁ?」 琉斗は母親に言われテレビへと視線をむけた。 『街は今大変混乱しています。外出をさけ戸締まりを確実に行って下さい。繰り返します。昨日未明突然全国各地に人を襲う集団が現れ街は混乱しています』 「うん、今見てる。俺は大丈夫だから母さん達こそ安全なとこに……うん……。じゃぁまた……あっ、おすすめは自衛隊の駐屯地だから……」 テレビからは人を襲う集団が映し出されている。 「いや、あれゾンビだろ……。とりあえず荷物一式をまとめるか」 応急処置キット、ケースに入ったカップ麺、水のペットボトル、虎柄ロープ、ナイフ、タオル数枚、靴、着替え、マル秘本…等をプラスチックケースに入れた。 「あっ…これこれ。正◯丸は必需品だよな」 ガスの元栓を閉め、家電のコンセントを抜きケースを持ってアパートの駐車場にとめてある軽トラに乗り込む。 「こんなときこそ冷静沈着に…とりあえずマル秘本が役に立つときがきた」 マル秘本とは一年前にレンタルビデオでゾンビや自然災害の映画を見て、自分なりにこういうことが起きたらどういった行動をするかと書き留めたノートだ。 「えっと…まずは情報を集めるっと…次に安全な場所までのルートを…」
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