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物音が聞こえ、ふと前を見ると明らかに死人と思われる人が前の道をゆっくりと歩いていく。
「ここまでやってきたか……」
エンジンを始動させずに通りすぎるのを待つことにした。
その時駐車場の片隅に立て掛けてあった箒が倒れた。
その音に反応したのかゾンビはゆっくりと振り返り箒に向かっていく。箒を掴むとバキバキと音がし、人ではないことが分かると箒を落としそのまま去って行った。
「……ははっ、漫画とかでよくある音に反応するパターンのほうだったか。しかし……」
琉斗は壊れた箒を見て溜め息を吐く。
「握力ヤバイだろ……ゾンビになるとリミッターが外れるのか」
人は本来持っている力を抑制していると言われている。そうしないと筋肉がもたないとか……。
エンジンを始動しラジオをつけ、駐車場からでると郊外へ向けて走り出した。
『……県内の至る所で人が襲われる事態が発生しています。外出はさけ屋内に避難してください。事態の沈静化に向け自衛隊及び警察が出動しています。安心して避難してください。えっ……「パリンッ」…キャー!?誰かー助けて!ねぇ!!ドアを開けて!?開けてよ!?ギャー…』
BGMとDJの悲鳴がラジオを通して伝わってくる。数分するとDJの避難の呼び掛けだけ録音していたのが繰り返し流され始めた。
「……最悪だな……」
情報が入らなくなる可能性が出てきたため、マル秘本を運転しながらちらりと見る。
「えっと……逃げる途中ホームセンターがあり脅威となるものがなければ寄る…あれ?なんで寄るんだったっけ…」
必死に一年前のことを思い出す。
「…ガソリンの携行缶又はドラム缶、あと武器の入手……」
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