アタシは捨て猫

3/12
前へ
/12ページ
次へ
「…これが全てなの」 目の前の弁護士の彼氏 裕太郎に あたしはそう言った。 「そうは言ってもな… 当時の癒月は6歳だろ? 子供の記憶だけじゃ 裁判に勝つのは難しいよ」 「ならお兄ちゃんに聞いてよ 実際に電話したんだから」 「電話の対応だけで 現場を見たわけじゃないし 何の証拠にもならないって」 「もういい! 裕太郎になんか頼まない」 やる気のない 適当な裕太郎睨んで あたしは喫茶店を出た。 今から13年前の冬。 あたしの父親は 家政婦の由貴子さんに 暴力を振るわれ 歩く事が出来なくなった。 幼いあたしが見たのは あまりに残酷な光景で… 今でも胸が痛む。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加