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「…これが全てなの」
目の前の弁護士の彼氏
裕太郎に
あたしはそう言った。
「そうは言ってもな…
当時の癒月は6歳だろ?
子供の記憶だけじゃ
裁判に勝つのは難しいよ」
「ならお兄ちゃんに聞いてよ
実際に電話したんだから」
「電話の対応だけで
現場を見たわけじゃないし
何の証拠にもならないって」
「もういい!
裕太郎になんか頼まない」
やる気のない
適当な裕太郎睨んで
あたしは喫茶店を出た。
今から13年前の冬。
あたしの父親は
家政婦の由貴子さんに
暴力を振るわれ
歩く事が出来なくなった。
幼いあたしが見たのは
あまりに残酷な光景で…
今でも胸が痛む。
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