マヨネーズが最後の希望

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気だるい日曜(と言っても俺に曜日感覚など殆どないに等しいが)の昼下がり。 俺は、することもなく、暇を持て余していた。 そんな時。 「やっべぇ!やっちまった!!」 叫びながらどかどかと上がり込んできたのは……仁藤… 普段より顔が青白く見えたのは気のせいだろうか。 「最悪だ…この世の終わりだぁ…」 項垂れる仁藤。 …猛烈に無視したい。 しかし部屋には俺だけ。 無視したらより面倒だ。 「何。どしたの。」 訊くと、嬉しそうに顔を上げ、しかしすぐ表情を変える。 「ストックしてたマヨ、全部賞味期限切れてた…」 ……くっそどーでもいい… 口に出さず、心の中で。 「絶望する……」 …いや、そんなことで絶望すんなよ。 ほんと、馬鹿なの? など思っていたら、仁藤がいきなり立ち上がるもんだから、ビックリして机に足をぶつけてしまった。痛い。 「いやっ!ピンチはチャンス!!こーゆー時こそ!前向きに!!」 …相変わらず無駄にポジティブなやつ。 「っつーわけで、晴人!」 俺の方を向く仁藤。 ……嫌な予感がする。 パンっと小気味良い音を立てて両手を合わせた仁藤。 これから食事を食べようというわけではないのだから、その合掌の意味は明らか… 「バイク貸して?」 だが断る。 「は?いや意味わかんねぇし。歩けよ。」 冷たく突き放すと、仁藤のやつは決まって駄々をこねる。 「だって店遠いんだもんよ~」 椅子にどかっと座り、むすっと頬を膨らませる仁藤。 「俺たちライバルだろ!」 …呆れて物も言えない。 ライバルって言えば何でも済むと思ってるのか? というか。 「……つーか、お前免許あんの?」 『免許はあるけどバイクがないから貸してほしい』はまだ分かる。 だが俺のバイクで無免許運転して捕まってみろ。 絶許だかんな。 だが仁藤は、口元に手を当て。 「あっ………」 はい絶許。 もう知らね。 慌てる仁藤をそのままに、自室に戻る俺。 背後から変な呻き声が聞こえた気がしたが、気のせいだ。
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