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ーー月日は流れる
「父上、今日は年貢の検見を行う日でしょう?お供させて下さいませんか?」
正太郎の仕事姿を見たい。
だから一緒に行きたかった。これも勉強の一つになるんだから父上が断る筈がない。
凶作でもなければ行わない検見も、この国は毎年必ず行い、役人任せにせず父上も着いて行くこともあった。税の取り過ぎや役人と農民との賄賂を防ぐためだ。
米を作る者がなければ食うことができないのだと、父は農民に感謝する生活を感じさせる為に国を回ることを日課にさせている。
民を知れば情も沸く、知った顔が苦しめば心が傷む村人をただの紙の上の文字にするな。と父から良く聞かされる言葉だ。
検見の時期は畑に鍬を入れることは禁止されているため、農民の収穫時期に影響がでる。父上はいつも仕事を早く終わらせるよう役人に厳しく努めた。
後日、納められた米俵に米刺を突き入れ中の品質検査をする。ぱらぱら落ちる米粒を不安な目で見つめる農民の中に当たり前だが正太郎は居ない。
「のう、お前さんが落とした米粒分、お前の米を減らすべきかのう?」
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