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 僕より少し背の高い正太郎の手を取って顔を洗わせそのまま山へ駆け出した。  此処は都から山を幾つも越えた険しい山に囲まれた小さな小さな国。其処に小さな国に相応しい小さな城の領主がこの小さな国を治めていた。  険しい山に囲まれた閉鎖的な此の村での遊びといえば、もっぱら山を駆け回り川で泳ぐことぐらいだろう。跳び跳ねるように走り回り、捕まえよと言うように挑発的な笑みを浮かべる  はやく、追いかけてこい。捕まえてよ。 「若、危ない!」  腕を引かれ正太郎の薄い胸に抱き寄せられると、やったと胸にわざと頬を寄せて心の音を聴く。一つしか変わらないのに身体は大きく、切れ長の二重が凛々しい瞳は、優しさだけを帯びて僕に向けられる。  焦ってる心音だ/// 「良かったー、若様に何かあったら……」  赤い顔を隠し頬を膨らませる 「僕が若でなかったら、ほっとくのか?」  正太郎の焦り顔だ!! 「まさか! 意地悪を言わないで下さい。渓谷が有ります故、お気をつけ下さい。」  本当だ……落ちたらたいへんだったな…… 「いつもショウが手を引いてくれるから大丈夫だろ? いつも側にいろよ。」
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