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 正太郎は表情を隠し頭を下げようとする。    違う、そんな顔しないでくれ、正太郎が悪いのではないんだ。    首に巻き付いていた腕を離して急かさず言葉を被せながら、じろっと廉介を睨む。 「廉、僕が連れてきたのだ、ショウを咎めることは許さぬからな。」  まるで僕の言葉を予想していたのだろ、父の小姓は馬から下り、にこりと笑顔を溢す。 「まさかそのような気などございません。朝食の容易ができてしまいますよ。  はい、正太郎殿。貴方の握り飯でございます。」  優しい小姓の廉介は僕と正太郎を馬に跨がせ自分は馬を引き先頭を歩きだした。 「廉介様、いけません、自分で帰れます。下ろして下さい。」  正太郎は庶民の身分などない自分などと、青い顔で必死に伝えているが、後ろから腕を回し離さない 「こら、馬上で暴れるな! 遠慮するな、僕が一緒に馬乗りをしたいんだ。」  正太郎は渋々大人しくなった。  そのまま身を寄せれば正太郎の温もりを感じられた。綺麗な顔を盗み見ては胸が熱くなり、嬉しさが顔に出る。
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