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「お、下ろして下さい、私など歩きますから。」
今は二人ではないんだから直との距離を取らなければ…… 俺は、兄にもなれはしないし、友達にすらなれない身分なんだ。
馬上で暴れるなと直に咎められると、廉介様も大きな瞳を細め諦めなさいと薄い唇に弧を描き優しく微笑んでいる。
「でも……。」
仕方なく大人しく馬に揺られ、雷鳥に見送られながら山を下りる。
優しい微笑みは、俺より少しだけ年上というだけなのに……器の違いを感じずにはいられない。
この違いが血統なのだろうか。
その上俺の朝飯まで用意してくれ、家まで送り届け母に丁寧な挨拶をする。
なんとお優しい方々がこの国を治められているんだろうか。
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