6 言いたくない

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* 「セーイ、今日カラオケいこーぜー」 「お前らホント、カラオケ好きな?」 「だって楽しいじゃん!どうせ今日暇だろー?」 「行こうぜ、セイちゃん」 西高ではHRが終わると高橋と斉藤が誠に声をかけた。 誠の両端から肩を組むようにした2人は覗きこんでニッと笑う。 みのりと居る時は自分の方が大きいのだが、こうされると少々小さめな自分の身長を恨めしく思う。 「……今日はバイトもないし、別に行ってもいいけど」 「お!やったね。俺らいつも行くとこあるから、ソコ行こうぜー」 西駅は西高側が裏となっていて、3人は駅を通り抜け、表の駅ビルやデパートが並ぶ方へと出た。 駅正面から少し反れたビルに目的のカラオケ店が入っていて、誠は初めて入るそのビルを一度見上げた。 「いらっしゃいませー」 受付の店員が声をかける。 高橋と斉藤が先に歩き、慣れた様子で受付を済ませた。 「そう言えばセイちゃん連れてカラオケとか初めてじゃね?」 「あー、だなー。セイ誘おうとすると決まって“デート”って断るし」 「あー……」 誠は頷きながらみのりの顔を思い浮かべた。 ここんところ、毎日、休み時間ごとに連絡しすぎて誠に対するみのりの態度が冷たい。 やりすぎなのはわかっているが、“谷口と言うヤツ”と仲良くやってるのかと思うと気が気じゃなく、つい連絡してしまうのだ。 今日だって本当はみのりとデートしたかったのだが、断られてしまった。 どうやらみのりは1人で帰っていないらしい。 しかもその相手というのが“谷口というヤツ”の様で、みのりに問い詰めれば、とうとう、「私が好きなだけだから」と言われてしまった。
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