7 早く言いたい

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「みのり、おはよう」 「おはよう」 朝の電車、乗り込んできた章はみのりにふわりと笑いかけた。 いつもなら座席の一番端に座っているのだが、今日はそこに座る人がいて、みのりはその隣に座ったまま章を見上げるとはにかんで頬をぽっとピンクに染めた。 「誠もおはよう」 「…………はよ、」 みのりの隣に座っていたのは誠で、章をちらりと見上げると頬を膨らませて視線を反らせた。 章はくつりと肩を揺らしながらみのり達の前に立った。 「マー君、谷口くんと知り合いだったの?」 「……別にー」 膨れる誠にみのりは首をかしげ、章を見上げた。 「俺の中学時代の友達が誠の今の友達」 「そうだったんだ」 「昨日、俺のバイト先に来てわかった」 「昨日?マー君カラオケ行ってきたんだっけ?」 「そ。コイツはそこでバイトしてた」 終始おもしろくなさそうに頬を膨らませる誠に章はくすくすと笑い、そして、ぽんと頭に手を載せた。 「こら!俺の頭を撫でるな!」 「くくっ、みのりに似て可愛い」 「俺は可愛いって言われてもうれしくねーよ!そして俺は許してねーからな!」 「心配しないで」 「心配しかねーよ!」 『西駅ー、西駅ー、降り口は右側です』 「誠、駅着いたよ。早く降りて」 「くっそーっ!お前、俺は認めねーからな!」 思い切りふくれっ面のまま仕方なく降りて行く誠に、章はまたくつりと肩を揺らし、みのりは2人のやりとりに首をかしげた。 「マー君、私が谷口くんの話しても何も言わなかったのに……」 こんなに仲良しだったんだ? 首をかしげたままのみのりの頬を章がするりと撫でた。
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