8 ライバル出現!?

8/8
前へ
/75ページ
次へ
「みのり、今日、デートしよ?」 「デート?」 「ん。西駅で降りて、駅ビルとかうろうろする」 うろうろするという章の言葉にみのりは少し考えるようにして、それからくすりと笑った。 「章がうろうろしてるイメージないね」 「あー……」 章はくすくすと笑うみのりと繋がる手にキュッと力を入れた。 「確かに、俺、実際うろうろしないかも」 「ふふっ、大丈夫?私、ウインドーショッピング好きだから、ついて歩くの大変かもしれないよ?」 覗きこむみのりは楽しそうな笑顔だ。 章もみのりを見下ろすと微笑んでいた笑みを深くした。 「全然大変じゃない。だって、付き合うってそう言う事でしょ?」 「っ、」 「みのりとずっと一緒に居られるのに、大変なわけ、ない」 最後は真剣な顔になってしまった章に、みのりは見上げていた目を伏せた。 いつもクールな表情はいつだって自分には甘く崩れ、そしてポロリと嬉しい言葉を洩らす。 コレが照れずにいられるわけない! みのりはキュンと苦しい胸を押さえながら、嬉しくて緩む顔を伏せた。 「みのり?」 章の大きな手がみのりの顔を上に持ち上げる。 覗きこむようにした章を見上げて、みのりは赤い顔のまま困ったように微笑んだ。 「俺、変な事言った?」 「ううん。嬉しすぎて困っただけ」 「……嬉しいと困る?」 「困るよぉ。離れたくなくなっちゃうもん」 「っ、」 駅に到着し、ホームに入ると丁度よく到着した電車。 乗り込むと章は手を引いて、降り口になる方のドアへとみのりを引っ張ると、腕で閉じ込めるようにした。 「……確かに、嬉しくて、困る」 章もまた困ったように微笑んで、みのりの頭をポンと撫でた。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

377人が本棚に入れています
本棚に追加