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『友達は皆、アキとかアキちゃんて呼ぶでしょう? 彼氏に恵美子って呼んでもらうのが、私の夢なんだ。特別な感じが良いよね』
何かの流れでサラッと話した私の言葉を、スイちゃんは覚えているのだろうか。
このセリフを受けての『恵美子と呼びたい』宣言だとしたら、その真意は……
「アキ」
「あ。ぅん」
「俺を、アキの彼氏にしてくれないか」
今度は明確に言ってくれる。
私の勝手な思い込みでないことはハッキリした。
けれど。
「スイちゃんは。男の人が、好きなんじゃないの?」
「そう、なんだ。今でも、その筈なんだ」
歯切れの悪いスイちゃん。
「それじゃ」
「それでも。アキは好きなんだ。アキは、特別なんだよ」
スイちゃんの言葉が、その口からはらはらと零れ落ちていく。
「アキが、他の奴と親しくなるのは、嫌なんだ。女は対象外だった筈なのに、アキのことは、手放したくないんだ」
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