2人が本棚に入れています
本棚に追加
私は優志の胸に頭を乗せた。
あぁ……。大好き。優志のために、
私、何ができるかな……。
「うじゃぁぁぁぁ―――っ」
目を覚ました優志が、顔を上げて叫んだ。
「ゆ、優志っ。ごめんねっ。私咬んじゃって…って」
「ぐじゅぁぁ――――っ」
立ち上がった優志は、両手を広げて、リビングの方に出て行った。
「優志?怒ってるの?そうよね?…私のせいで…」
「ぐじゅぅぅぅ―――っ」
優志は早足で、玄関の方に進んで行った。
まだ慣れていないのか、彼は壁に激突しながら進む。
その時、私は気付く。
「あ…。意識あるの、私だけっぽい…」
ま、まぁいいかっ…。
「優志ぃぃっ。待ってぇぇ。私も一緒に行くぅ~~」
私は女子大生、マンションが謎の未来にタイムスリップして、
ゾンビになったけど、愛を知って、その人のそばにいる。
幸せよ。だって、最愛の人に出逢えたんだもんっ。
私は、玄関を出たゾンビ優志の手を握る。
「ぐじゅわぁぁぁ――」
「じゅじゅぅぅ―――」
外の薄暗い通路には、
たくさんのご近所ゾンビさん達がいた。
「あっ、こんにちは。こんばんはかな。
分かんないですよねぇ。空が灰色の雲で覆われてるから。
ははは、何か暗黒の未来っぽいですもんねぇ」
ゾンビ2体の上げた手が、優志の手に当たる。
「ぐじゅぁぁ――っ」
「え?うふふっ。
そうなんです。私達、今日はデートなんですよぉ。
あの下の不気味な森にでも、行って見ようかなってぇ」
あぁ…幸せぇぇぇ。
最初のコメントを投稿しよう!