ゾンビ愛

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私は優志の胸に頭を乗せた。 あぁ……。大好き。優志のために、 私、何ができるかな……。 「うじゃぁぁぁぁ―――っ」 目を覚ました優志が、顔を上げて叫んだ。 「ゆ、優志っ。ごめんねっ。私咬んじゃって…って」 「ぐじゅぁぁ――――っ」 立ち上がった優志は、両手を広げて、リビングの方に出て行った。 「優志?怒ってるの?そうよね?…私のせいで…」 「ぐじゅぅぅぅ―――っ」 優志は早足で、玄関の方に進んで行った。 まだ慣れていないのか、彼は壁に激突しながら進む。 その時、私は気付く。 「あ…。意識あるの、私だけっぽい…」 ま、まぁいいかっ…。 「優志ぃぃっ。待ってぇぇ。私も一緒に行くぅ~~」 私は女子大生、マンションが謎の未来にタイムスリップして、 ゾンビになったけど、愛を知って、その人のそばにいる。 幸せよ。だって、最愛の人に出逢えたんだもんっ。 私は、玄関を出たゾンビ優志の手を握る。 「ぐじゅわぁぁぁ――」 「じゅじゅぅぅ―――」 外の薄暗い通路には、 たくさんのご近所ゾンビさん達がいた。 「あっ、こんにちは。こんばんはかな。 分かんないですよねぇ。空が灰色の雲で覆われてるから。 ははは、何か暗黒の未来っぽいですもんねぇ」 ゾンビ2体の上げた手が、優志の手に当たる。 「ぐじゅぁぁ――っ」 「え?うふふっ。 そうなんです。私達、今日はデートなんですよぉ。 あの下の不気味な森にでも、行って見ようかなってぇ」 あぁ…幸せぇぇぇ。
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