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ゾンビ愛
「最悪だ…この世の終わりだ…」
私はごく普通の女子大生、少し天然なところが
あると言われるけれど、全く普通だと自分では思う。
そして、ここは自宅マンションの自分の部屋、
…のはずなんだけど。
机の下にいる私の腕は、血まみれで、
部屋も外も真っ暗…。
永久電池の時計をさっき見たら、
西暦9606年になってた。
ぶっ壊れてんのか、それとも本当にそうなのか、
意味不明なんだけど。
やっぱマンションごと、
タイムスリップして来たんだろうなって、
思わせる出来事がさっきからずっと起こってる…。
ほらまた来た…。
気持ち悪い灰色の人の形をした生き物…。
いや、生き物じゃないな、死んでるんだ。
だって、あれはゾンビだもん…。
「うじゃぁぁぁぁ…」
来た来た…。私を食べようとして、
よだれを垂らしちゃって…。
大きな男のゾンビは、机の下を見た。
「今だぁっ!!」
ガッ――――
私はゾンビの頭をフライパンで叩いた。
隠れていた私に気付くのが遅かったゾンビは、
叩かれた衝撃で床に倒れた。
ははは。やったぞ。倒した…。
「え…」
ゾンビは、私を見つめながら、立ち上がる。
ゾンビの気色の悪い細長い腕を見た私は、
恐怖で足が竦んだ。
やばい、やばい…。ここに隠れて倒す作戦だったのに、
フライパンを武器に選んだのが失敗だった。
来たよ、来たよゾンビの顔がっ。
ゾンビは私に顔を近づけて、私の頭を右手で掴んだ。
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