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箱の中で鐘の音を聞いていた。
いや、
聞いていたというよりは見ていた。
目にしていた。
感じていた。
色として捉えていた。
本当か?
鐘が鳴る。
鳴っていた。
一つ、
半分、
四分の一、
八分の一、
十六分の一。
鐘が鳴る。
鳴っていた。
二つ、
四つ、
八つ、
十六、
三十二。
それから……
鐘の音が割れて砕けて、
でも塊になって目の中で奥で、
うおおん、
わおおん、
と鳴っていた。
鳴り続ける。
それをわたしが見ている。
聞いている。
感じている。
色として捉えている。
本当か?
それから意識が遠退いて、
また近づく。
窮屈だ。
怠い。
弛緩する。
痺れてきた。
それで目を開けると、
そこは箱の中ではなくて、
四角い壁があって、
ベッドの上なだけで、
窮屈な掛け布団の下で、
頭がぼおっと怠くて、
目覚めたばかりなのに全身が一様に痺れていて、
疲れていた。
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