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 初めて入れられたときは、本当に檻が鉄で出来ていたので驚いてしまう。  くすんだ白色のペンキが剥がれた箇所には赤茶色の錆が死んだ脳腫瘍のように噴き出していて、舐めると渋い血の味がする。  本当の鉄だとは信じていなかったので、大きく口を開けて齧ってしまったので、歯が欠ける。  今では補修されてエナメル質の白がラメラメと煌く。  騙されたと気づいて、細い両腕で格子を激しく揺すって、指の骨を何本も折る。  今では折れていないが、余りに何度も同じ箇所を骨折したので、均質で綺麗だったわたしの指の一部が、今では突き指を繰り返した関節のようにボッコリと膨らんで醜い。  見舞いに来た死んだ姉は、以前と変わりないじゃないの、可笑しいわよ、と指摘するが、わたしには見える。  手袋をすれば見えなくなるが、その膨らみを愛した男もいる。
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