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萌えネーター
最悪だ…この世の終わりだ…まさしく人類絶滅の始まりである。
その瞳が赤く灯った。排除対象を認識した証。絶望のBGMが聴こえるようだ。
萌え声優の声音で、奴が可愛く告げた。
「萌殺しますわ、ご主人様」
そう、奴の名は萌えネーター!!
その事の発端は、僕が平穏に暮らしていた時に始まった。
僕は秋葉原のゲームセンターで遊んだ帰りに、友人と一緒に駅に向かって歩いていた。
「なあなあ、新作の萌えゲーム買ってかね?」
「萌えに興味無いし」
僕は友人の誘いをぶっきらぼうに断った。
「お前も変わってるね。それじゃあ、どんなゲームやってんの?」
「んっ、カオスニューラルってゲーム。変わったオンラインゲームで、難解なパズルを繋げて遊ぶゲームなんだ」
「そんなんで楽しいのかよ? 萌えを堪能せずに男子の本懐は無いぞ」
「だから、萌えなんてくだらねえって」
硬派な言葉で唇を尖らせていると、それは僕たちの前で突然に発生した──
夜の遊歩道をボランティアでお掃除する人の前に、突如として数条の稲妻が走ったのだ。
殷々と稲光が宙を裂き、周りの信号機やネオンに当たって火花が舞い散った。
「きゃあっ!」悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
メイド服を着た眼鏡のビラ配りが、「はわわ~」と逃げ遅れて腰を抜かしていた。
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