萌えネーター

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そして、まだ握っている手に視線を落とすと、 「なっ!?」  慌てて手を引き剥がして狼狽した。耳まで赤い。 「……あのメイドは何者なの? どうして突然襲ってきたのかな? それに僕を知っていたのはなぜなんだろう?」  次々と疑問を並べると、貧乳少女が黒ニーハイの足を伸ばして毅然とした。 「それを報せるために、あたしはこの時代に来たんだ」 「この時代って?」 「あたしは2029年の未来から、あんたを護りに来たんだ」 「2029年……!?」  僕が驚いた顔をすると、貧乳少女が生硬い笑みを浮かべた。 「あたしの名はツンデレー。未来の革命戦士だ」 「よ、よろしくお願いします」 「襲ってきたメイド、奴の名はMー800。ヒト型特殊掃討アンドロイドMankind Objective Elimination Terminate。 通称、萌えネーターと呼ばれている」 「萌えネーター……でも、なぜこの時代に?」 「萌えネーターはあんた、港南丈の命を狙っているのさ」  腰に手を当てて答えると、ツンデレーの猫眼が哀色に染まった。 「この時代に、世界のAIシステムのネットワーク化された演算能力が革新的向上をする特異点が現れたのさ。 それは世界のネットワークを統合した超人工知能で、未来ではそれをモエネットと呼んでいる」 「モエネット……その人工知能が問題なの?」  不思議に思って訊ねると、ツンデレーが嘆息して眼を細めた。
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