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久しぶりに係長に誘われて休憩に出た。
紙コップのコーヒーを片手に係長が尋ねてきた。
「中村さ、最近楽しそうだよな。なんかあった?」
自分としては平静を保っているつもりだけど、やっぱ態度に出てしまうんだろうか?
最近、自然に顔が緩むのがわかる時が多いしな。
「…彼女らしき人が出来ました」
「やっぱり!お前、わかりやすいんだよ。
…で、その彼女らしきって何?ちゃんと実在すんの?違う次元の女とかじゃねーよな?」
「違いますよ!ちゃんと実在してます!」
「じゃあ、らしきって何?」
「一応、彼女なんですが、一方的な僕のごり押しで付き合ってもらったんです」
「うわっ!!なんか可哀想だな…お前」
「はい…。僕にはレベル高すぎて攻略不可能な人なんです。例えるなら、マメマリオでラスボス・クッパに挑むようなもんです!」
「ハハッ…なんだよ?その喩え?しかも…クッパって!止めとけよ!そんな恐えー女…」
「見た目の話じゃなく、それくらい難しい相手だと言いたいだけなんです!」
「…よくわかんねーけど、俺がルイージになって一緒に退治してやるよ?」
「退治したいんじゃないんです。口説き落としたいだけなんです。それに係長、ルイージで助っ人に来てくれても多分、シャボン玉に入って逃げちゃいそうです…」
「…やっぱ恐えー女じゃん!!ホント止めとけって!尻に敷かれるって!」
「確かにそれは否めないかも…。でも僕が言うのもナンですが美人です」
「なら、余計に止めとけよ!美人は男を駄目にするってこの前ドラマで言ってたぞ!」
どんなドラマだ?とツッコミたかったが止めておいた。
そろそろ、仕事に戻らないといけないからだ。
――――そして、夜。
絢子さんが帰宅して俺が玄関まで出迎えると、仁王立ちで玄関に立っていた。発せられているオーラが怖かった。
「…俊也?遠野が『中村の女はクッパみたいな奴らしい』って爆笑してたんだけど…どーゆうことかしら?」
今日会社にいる時から、なんか機嫌悪いとは思ってたんだよぉ…。
クッ…!係長め!!
その後、遅い時間にも関わらず、玄関に突っ立ったまま1時間以上叱られた。
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