僕の彼女

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*** 久しぶりに係長に誘われて休憩に出た。 紙コップのコーヒーを片手に係長が尋ねてきた。 「中村さ、最近楽しそうだよな。なんかあった?」 自分としては平静を保っているつもりだけど、やっぱ態度に出てしまうんだろうか? 最近、自然に顔が緩むのがわかる時が多いしな。 「…彼女らしき人が出来ました」 「やっぱり!お前、わかりやすいんだよ。 …で、その彼女らしきって何?ちゃんと実在すんの?違う次元の女とかじゃねーよな?」 「違いますよ!ちゃんと実在してます!」 「じゃあ、らしきって何?」 「一応、彼女なんですが、一方的な僕のごり押しで付き合ってもらったんです」 「うわっ!!なんか可哀想だな…お前」 「はい…。僕にはレベル高すぎて攻略不可能な人なんです。例えるなら、マメマリオでラスボス・クッパに挑むようなもんです!」 「ハハッ…なんだよ?その喩え?しかも…クッパって!止めとけよ!そんな恐えー女…」 「見た目の話じゃなく、それくらい難しい相手だと言いたいだけなんです!」 「…よくわかんねーけど、俺がルイージになって一緒に退治してやるよ?」 「退治したいんじゃないんです。口説き落としたいだけなんです。それに係長、ルイージで助っ人に来てくれても多分、シャボン玉に入って逃げちゃいそうです…」 「…やっぱ恐えー女じゃん!!ホント止めとけって!尻に敷かれるって!」 「確かにそれは否めないかも…。でも僕が言うのもナンですが美人です」 「なら、余計に止めとけよ!美人は男を駄目にするってこの前ドラマで言ってたぞ!」 どんなドラマだ?とツッコミたかったが止めておいた。 そろそろ、仕事に戻らないといけないからだ。 ――――そして、夜。 絢子さんが帰宅して俺が玄関まで出迎えると、仁王立ちで玄関に立っていた。発せられているオーラが怖かった。 「…俊也?遠野が『中村の女はクッパみたいな奴らしい』って爆笑してたんだけど…どーゆうことかしら?」 今日会社にいる時から、なんか機嫌悪いとは思ってたんだよぉ…。 クッ…!係長め!! その後、遅い時間にも関わらず、玄関に突っ立ったまま1時間以上叱られた。
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