6人が本棚に入れています
本棚に追加
((最悪だ…この世の終わりだ…))
瓦礫を押しのけて地表へ這出た彼は、あたりを見渡し惨状を確認すると、諦めたように心中でつぶやき、天を仰ぐ。
どこまでも雲に覆われた空。
いや、はたしてこれは雲なのか…
彼は心の中で大きくため息をつく。
((父さん、母さん…兄さん…))
あたり一面に広がる粉塵。
彼の家族は、巨大隕石が地上に到達した際の衝撃波により、遥か彼方へと飛ばされていった。
運よく、飛ばされずに済んだ彼も、ただではすまなかった。
((くっ…))
口から滴る鮮血…。
飛来したブロックが彼の腹部を直撃し、内臓を大きく破壊した。
((みんな…。僕も…すぐにそっちに…))
“ガタ…バタン…”
膝から崩れ落ち、うつ伏せに倒れこむ…。
吹きしきる風は容赦なく、彼の背に粉じんを重ねていった…。
最初のコメントを投稿しよう!