最後の日

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((最悪だ…この世の終わりだ…)) 瓦礫を押しのけて地表へ這出た彼は、あたりを見渡し惨状を確認すると、諦めたように心中でつぶやき、天を仰ぐ。 どこまでも雲に覆われた空。 いや、はたしてこれは雲なのか… 彼は心の中で大きくため息をつく。 ((父さん、母さん…兄さん…)) あたり一面に広がる粉塵。 彼の家族は、巨大隕石が地上に到達した際の衝撃波により、遥か彼方へと飛ばされていった。 運よく、飛ばされずに済んだ彼も、ただではすまなかった。 ((くっ…)) 口から滴る鮮血…。 飛来したブロックが彼の腹部を直撃し、内臓を大きく破壊した。 ((みんな…。僕も…すぐにそっちに…)) “ガタ…バタン…” 膝から崩れ落ち、うつ伏せに倒れこむ…。 吹きしきる風は容赦なく、彼の背に粉じんを重ねていった…。
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