生はまこと苛烈に尽きる

12/40
前へ
/40ページ
次へ
  「お前、坂田。 なーに勝手に 油売ってんだ」 「やあ、浅海さん。 油なんて売ってませんよ。 むしろあなたを 待ってたんです」 坂田の周りの ふわんとした空気が、 一瞬できりっと張り詰めた。 どうやらこの男の人が、 坂田の今日の 相方さんらしい。 浅海という名前が すっと頭に入ってきた。 隣に私がいるのは わかっているのに、 ゆったりとした動作で 話しかけてくるあたり、 たぶん表裏のない 人なんだろう。 坂田とかなり 親しい人なんだってことが わかった。 「なに、どしたの」 「いえ、高校のときの 同級生ですよ。 さっき、 ばったり出会って」 「なんだ。 ハルたんに報告しないと いけないかと思った」 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

570人が本棚に入れています
本棚に追加