生はまこと苛烈に尽きる

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  冬の雨は、 なぜか心まで冷たい。 坂田たちがいなくなってから 意味もなく3分、 なにも見えない 真っ暗な空と びしゃびしゃに濡れた夜道を ただ見つめていた。 いたずらに時間を つぶしたところで 私のなにが変わるわけでは ないけれど、 それでも気が済むまで そうしていたいときはある。 それがだいたい どんな道を通っても 自分をいじめることに つながるのは、 なんなんだろう。 人間って、 成熟すればするほど マゾヒストにでも なっていくのか。 そんな内罰的な要素、 私にはなかった はずだけれど。 というか、 成熟にはほど遠いよ、 私。 ──と、 その瞬間通りを走る 車のヘッドライトに 照らされた。 .
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