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戸惑う桃さまの舌が
私のキスのなにに
反応するのかは、
もういくつかパターンを
知っている。
彼のそれと私のそれは
とてもよく似ているから、
合わせ鏡に
してやるだけの話だ。
気持ちが、いい。
やわらかな舌が
ぬるぬると互いの温度に
なじんで混ざりたがる
この感じが、
ひたすらに気持ちいい。
「杏さ……ッ」
淡い紅茶の香りが
薄まっていくことに気付いて、
眩暈がする。
からまる舌の間で、
じれったいとでも
啼くようにちゅるりと
音がした。
手を伸ばすと、
桃さまは鼻にかかった
低い呻きを漏らす。
男の人は私のように
はしたない声を
あまり上げないけれど、
こんなささやかなものでさえ
煽ってくるのだから、
もっと漏らせばいいのにと
ぼんやり思う。
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