生はまこと苛烈に尽きる

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  「まあね。 俺なりに家族は 大事にしてる」 さらりと“家族”と 言ってくるところ、 憎たらしいほど 大人の男だ。 坂田が 大人の男だってことは、 私も大人の女なんだなぁ。 当たり前なんだけど。 「……実は、ちょっと、 悩んでて」 「え?」 坂田は傘の先から 私に視線を移すと、 ふっと苦笑する。 「2人目作ろうか悩んでる」 「……あ、そ。 幸せな悩みだね」 「まあねと 言いたいところだけど、 なかなか深刻で」 「深刻?」 「俺、ひとりっ子だからさ。 うちの奥さん、 お兄さんと仲良しなのが ちょっといいなって。 だからうちのチビには、 きょうだい つくってあげたくて」 「ああ、そっか」 .
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