生はまこと苛烈に尽きる

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  「ごめんね、 なんか愚痴みたいで」 「ううん」 また、 なにかに置いてけぼりを くらったような 自分を感じた。 坂田、 同い年なのにな。 ……子どもがどうとか、 考えたこともなかった。 「子どもの数が増えるのは、 喜びが増えることだとは 思うんだ。 でも、 危ない目に遭うことも 増えるってことでさ。 そういう事態になったら…… 家族の人数分、 悲しいことが増える」 「そう、だね」 「だから、 わりと24時間 ずっと悩んでるんだ。 屈強なベビーシッターを 雇えるほどの余裕はないしね」 詮無いことを 言ったとばかりに、 坂田は自分の話を 笑って飛ばした。 たまたま再会した私に ほろっと話してしまう くらいだから、 彼の中の切実度は かなり高いんだろう。 .
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