生はまこと苛烈に尽きる

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  坂田はふっと苦笑した。 「木枯さん、 話しやすいな。 ちょっと、驚いた」 「え? そうかな」 「うん。 昔は気付かなかったけど、 聞き上手」 「……初めて言われた」 「そういえばきみ…… 長倉さんの友達だっけ」 「そうだよ」 はたと今思い当たったのか、 坂田の表情が 一瞬止まる。 その目は私を 見つめてはいるけれど、 どこか遠くを 見ているようだった。 「今も、仲いいの?」 「まあね。腐れ縁的な。 一番の友達」 あまり可愛らしい 言い方はできないけれど、 本人のいないところでは 本当に思っていることが 出てくるものだ。 「そっか…… だから聞き上手なのかな。 木枯さん」 「どういうこと?」 「ほら、彼女、 よく喋るだろ。 ……自分のペースで」 .
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