生はまこと苛烈に尽きる

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  坂田は微笑みながら 付け加えた。 彼が千佳のことを 悪く感じていないことが窺えて、 ちょっと嬉しくなる。 「かも知れない。 あの子、 自分の思ってること 伝えるのに一生懸命だから」 「そうだね。 押し付けようとか、 悪い思惑なんてないことは 俺も知ってる」 「よかった」 結婚して子どものいる 坂田と千佳に今さら 幸せな未来があるだなんて 思ってないけれど、 それでも親友のことを 悪く思って欲しくはない。 「いいなあ、 女の人同士は」 「そう? 友情がどうとかいう話なら、 男の人のほうが」 「まあ、そうなんだろうけど。 男同士はどうしてもなんか、 暑苦しくなるというか。 女の人同士って、 それだけできれいだから」 .
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