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その事を思い出したのは、亮輔の乗った
車が出発した後だった。
見送りのために集まった彼のチームメイトの
前で、大声で叫んでしまった私。
チームのキャプテンを務める松本さんには、
当然の如く、しっかりと聞かれていた。
「まあまあ、そんな事で無くなる威厳なんて、
元々奈緒っちには無いだろ?」
「酷っ、名誉棄損で訴えますよ!」
からかいの笑みを浮かべる松本さんに、
掴みかからんばかりの勢いで、前のめりに
立ち上がる。
「オッと!」
「わっ!」
「あっ!」
松本さんが日村君を盾にして、首を引っ込めた
ものだから、危うく彼とぶつかりそうになった。
寸でのところで止まり、事なきを得て、
ホッと息を吐く。
「ごめん、大丈夫?」
「はい」
日村君が引きつった笑いを浮かべてる。
これじゃあ、松本さんの言う通り、
威厳なんてあったものじゃない。
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