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夏休みも丁度残り半分を過ぎ
いつもと変わらず幽亮さんの事務所で助手のバイトの毎日を過ごしていた僕だったが…
今日に限っては違う!
何故ならば、今日は以前から幽亮さんに誘われていた旅行の日で、
僕は電車とバスに揺られること数時間の山間にひっそりとある
黒部村という所に来ていたのだ
この黒部村は周りを自然に囲まれた場所で僕がいつも味わっていた都会の騒がしさに比べると静かそうでとても過ごしやすそうな村だった。
到着したバスから降りて早々に緑一杯の新鮮な空気を味わう暇もなく
僕は幽亮さんに連れられて黒部村に唯一、一軒だけしか無いという旅館
赤木旅館へと向かう事に
バス停から大分歩いた所でやっと赤木旅館が見えてきた
村に唯一しか無いので相当、歴史がある旅館なのだろうと思ったが、外観はそんなに古くなくどちらかというと真新しさのある和風旅館だった
そんな旅館の入口に入ると
奥の方から1人の和服の女性が出迎えた
「どうも、予約した八木沼 幽亮という者ですが…」
「はい、この度は遠い所から良くいらっしゃいました
私、赤木旅館の女将で赤木 秋子と申します」
そう言ってお辞儀した秋子さんは見た感じ三十代ぐらいの若い人で和服が良く似合う
「お若くて、女将さんとは凄いですね」
幽亮さんが言うと
「そんな事…女将と言っても従業員は私だけなんですよ、最近、この旅館を始めたばかりで生憎と人手が無くて…」
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