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「だけど、その家の状態といい叔父さんといい、お前といい
お祖父さんが守銭奴のわりにあまり裕福そうじゃないな」
「幽亮さん、それは失礼なんじゃないですか」
「いや、構わない
それがな…あれだけ守銭奴だった割には爺さんの遺した遺産があまりにも少なかったんだ」
「少なかった?」
「多分、ほとんど使い切っちまったんじゃねーかな
爺さんが死ぬ何年か前に
丁度バブルが弾けたからな」
「そうなんですか、でも金融業とか色んなビジネスを還暦までやっていたんですよね」
「そうなんだけどよ、俺がその話を聞いた頃には爺さんはもう寝たきりだったからな
それに、ちょっと痴呆ぽくて
たまに唄なんか歌ってたしな
だから、あまり信用できねえ」
「歌?
それはどんな歌だ?」
「童謡だ、幽亮も聞いた事あるだろう?
誰かさんが誰かさんがって奴で確か題名は…」
「ちいさい秋みつけた
じゃないですか」
「そうだ、その歌を良く歌っていたな
確か…出だしが 誰かさんが 誰かさんが で次は確か…なんだったか」
誠さんが思い出そうと頑張っているのを見て
「ちいさい秋、ちいさい秋見つけた、ですね
それで続きが確か…」
とそう言って僕は歌った
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