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「そんな、武夫さんがどうして?」
それは昼間に会った、あの小太りの武夫さんだった
「どうも、お初に御目にかかります
僕は誠の友達で八木沼探偵事務所、所長の幽亮と申します」
「探偵だと、それに誠君、君は旅行に行った筈なのに、どうして?…」
「それは、こっちの台詞だぜ
武夫叔父さん、深夜に人の家で何してんだ
それに…その荷物は?」
「これは…、その…」
「あなたの目的はもう分かっています
荷物の中身も大体ね」
「何を言っているのかね」
「直也君!」
幽亮さんの合図で僕は素早く武夫さんから荷物を引ったくる
早速、荷物の中を開けるとハンマーなどの工具が入っていた
「これは…?」
「宝探し…そうですね」
「幽亮、どういう事だ、宝探し?」
「あぁ、この家にはお祖父さんの遺した隠し財産があるんだよ」
「何だって、何処に?」
「それをこの武夫さんは探していたんだ、君が寝ている間に…ね」
「と言うことは、俺が3日連続で聞いたのは…」
「あぁ、武夫さんがそれらしい場所を探っていた時の音だ」
「でも幽亮さん、僕も家の中を一通り見ましたが
隠し財産なんて物が一体、何処に?」
「それは僕が今から教えてあげるよ
ヒントはこの家の構造と誠のお祖父さんが歌っていた童謡のちいさい秋だ」
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