怪異FILE06 ちいさい秋みつけた

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誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた めかくし鬼さん 手のなる方へ すましたお耳に かすかにしみた よんでる口笛 もずの声 ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた 「直也君がこの屋敷に入った時の話を聞いていて 僕が1つ気になったのがこの床の軋む音だ いくら、お金が惜しいからってこれだけ音が気になる床の軋みを直さない しかも遺言で直しちゃいけないなんておかしいだろう それは、この床の軋む音の正体にある これはね、鴬張りの仕掛けの一種なんだよ」 「鶯(うぐいす)張り?」 僕が聞いた事無い単語が出る 「そう…鶯張りって言うのはね 昔の建築技術の1つで、主に城や屋敷に使われ 侵入者を知らせる防犯目的があったんだよ 武夫叔父さん、本業が建築業のあなたも知ってますね」 「そしてこれがお祖父さんの遺した隠し財産への始まりなんだ 直也君、君は目隠し鬼って遊びはどうやるか、知っているかい?」 「確か、目を瞑って耳を澄まして、音のする方に歩いて… 「そう、その通りだよ」 「良く聞いてごらん この床の軋む音、段々と高くなってる まるで鳥の百舌鳥(もず)の様な甲高い声のようにね…」 幽亮さんが音を頼りに歩いて行く その足取りは一階の中をある程度、紆余曲折みたいに歩いた後 最終的に二階への階段に行き着いた 「幽亮、まさか隠し財産は二階に?」
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