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それから数日の後…
稀少な日本金貨の発見に世間は大いに騒いでいたが事務所にはいつも通りの静けさがあった
「でも、幽亮さん残念でしたね」
幽亮さんにお茶を渡しながら僕は言った。
「仕方がないさ、元々は誠のお祖父さんの遺産だ
税金やら何やで納めて
それでも尚且つ、武夫さんの会社の立て直しに使えば
そんなには残らないさ」
そう、誠さんはあの遺産のほとんどを武夫さんの会社の負債に当てたのだ
誠さん曰く、父親が亡くなってからお世話になったのと日頃の恩返しのつもりだそうだ
「まぁ、それでも…
君への報酬を払っただけ、まだ良い方だよ」
しかも、誠さんは手元に残ったほんのわずかで多くはない財産から僕への約束の報酬を払ってくれたのだ
「でもまさか、童謡のちいさい秋にあんな意味があったなんて」
「昔の童謡には色んな意味が隠されている事がある
有名なものだと、はないちもんめは子買いの事を表していたり
いろはにほへとが冤罪を訴えた歌だったりとかね
今回のは多分だけど
誠のお祖父さんがちいさい秋を聞いて
たまたま思い付いたんだろうね
それにあんな隠し方したのも
お祖父さんが引退を考えた頃に日本が丁度バブルが弾ける直前だったからね
銀行とかも倒産していたし
多分、誠のお祖父さんはこの先も不景気が続くと考えて子孫に遺産を遺したかったんだろうね」
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