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「あなたまさか」
「非常事態なんだからぼけっとするな!自分の身は自分で守らなくてどうすんだよ!」
こちらの言葉を遮って若い男は怒った。
あ、美丈夫。
あれ、現代風にいうならえーと、あーと。
「・・・あぁ、イケメン」
ドゴッ。
「命の危機に下らねぇこと言ってんなよ」
赤くなった顔をそらしながらイケメンは私の頭を殴った。
「それにしてもなんだってんだよ。天変地異かよ」
壊れていく世界を見ながら、イケメンが呟く。
ごめん。
これ、私のせいだわ。
そして間違いなく【天変地異】です。
「おい、ここもヤバいっぽい。こっちいくぞ」
再び手を捕まれて走らされる。
当たり前だけど、その手が温かいことに驚いた。
「温かいね」
「お前は死んでんじゃないかってくらい冷たいな」
イケメンは言葉を紡ぐ。
「でもさ、俺が温かいのもお前が喋ってんのも、全部生きてるからだ」
だから生き残るぞ!と力強く言った。
なんだろ、胸が苦しい。
ドキドキする。
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