第1章

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走りながらイケメンは華麗に瓦礫を避け、そして倒壊したコンビニから保存のききそうな食料や水を素早く集めた。 でもごめん。 【世界】自体が終わるから意味ないのよ。それ。 この人が無駄な努力をしないように教えてあげるべきなのかも知れない。 てか、教えてあげよう。 この人はいい人そうだし。 「無駄だよ。みんな消えちゃうもの」 「るせーよ」 いい人には良いことをしてあげようと口を開いたのに、彼の返事は素っ気なかった。 「そんな風に諦めて生きて楽しいかよ。俺は諦めねぇ。やりたいこともやらなきゃいけないことも、まだあんだよ」 倒壊していく町のなかを走り時々バイクや車をジャックして、徐々に落ち着いた雰囲気の場所まできた。 まばらに木が生えてはいるが建物はなく、これなら上からの瓦礫に怯えることはなさそうだ。 「おまえ、ッ、はぁ、度胸あんな」 イケメンがとなりで息を乱しながらいった。 「当たらないって分かってるしね」 「いや、普通に避けなきゃ当たる・・・ってかおまえ、はぁッ、息も乱れないのな」 イケメンの歪む顔は、なんかそれはそれで素敵だった。 眼福、ご馳走さま。
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