【6】

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 やる気をみせて言ったのを聞き、真琴はきょとんとしてしまった。  この状況で、一体何を言ってるんだろうか。  さっきとは別の意味で勇仁の思考が分からなくて、真琴の頭の中が疑問だらけになる。  キスをして身体まで繋いだというのに、今更何を……そう思うと、少し腹立たしくなった。  勇仁はこんなに無神経な奴だったのだろうか。  苛立ち始めながら真琴は、頭の片隅でそう思った。その感情のままをぶつけるのも気が引けて、少し冷静になろうと昨日の事を振り返ってみて、なんとなく理由が分かった。 「勇仁……」  無神経なのは、自分の方だったかもしれない。  さっき勇仁に向けて思った事が、急に申し訳なく思った。  昨日の真琴は余裕なんか一つもなかった。その所為で、大事な事を勇仁に言っていないままだと気付いたのだ。  言わなきゃいけない事があるのは分かったが、自ら切り出すのは照れくさい。  それでも先延ばしにしたらしただけ、言い出しにくくなるのも分かっている。  少し息を吸って覚悟を決めた真琴は、勇仁の腕を掴んだ。 「ん? まこ、どうした?」 「勇仁……オレ、ちゃんと言ってなかった」 「何をだ?」 「オ、オレも、ちゃんと……ゆ、勇仁の事が、好きだから……」  自分の気持ちを伝える事が、こんなにも緊張するだなんて思わなかった。  心臓が壊れるんじゃないかと思うぐらいに、ドキドキと音を立てて鳴っている。絶えずに鳴り続けるその音を耳にしながら、真琴は高揚する気持ちとともに言葉にした。  その後は、言えた事に満足してしまい、まともに勇仁の顔を見れる余裕がなかった。 「まじで……? まこ、本当か……?」 「うん……」
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