745人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
二つ目と言って話しだした染谷の話に、真琴は目を丸くするばかりだった。まず、勇仁が染谷の家に行ってた事すら知らなかったし、そこで自分の話題を出されていた事にも驚いた。
話を聞いていく中で唯一安心出来たのは、勇仁が出て行く時に真琴の家で起こった出来事を、染谷が知らないままでいた事だった。
もし勇仁が喋ってバレてしまったら、どんな顔をして話を聞けばいいのかと戸惑う所だったからだ。
「染谷……話してくれて、有難う」
「ああ。ちなみに、水道の修理とかなんとか理由作ってたけど、もう大丈夫みたいだから勇仁は今、自分の家に戻ってるぜ」
「そう……」
改めて、勇仁が今は自宅に戻ってると聞いて、ホッとする。連絡が来なくなってから、どうしているのかと少し気になっていたからだ。
勇仁の顔の広さからして、頼る所は沢山あるだろうと思っていた。最悪、寝るだけならば自分の家に帰ればいいし。
ただ、今は誰の所へ行っているのかと考え出すと、妙にそわそわして落ち着かないので、それ以上考えない様にはしていた。
「ま、勇仁もきっかけが見つからないだけで、春木と仲直りしたいと思ってるからさ。春木が許せるようになったら、勇仁に会いに行ってやってくれよ」
「え……う、うん」
喧嘩だと思い込んでいる染谷に訂正を入れられないまま、染谷は真琴の前から立ち去ってしまった。一人残された真琴は、今日受けるべきテストは終わったので、自宅へと足を進めた。
染谷から話を聞いて、直ぐに勇仁へ会いに行こうとは思えなかった。取り入れた情報が多すぎて、今はただ頭の整理をしたいと思ったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!