【5】

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 今も、思い出した事で下半身に熱が集まっていくのが分かった。真琴はそっと下着の中へと手を滑り込ませると、自身を慰め始める。  勇仁の事を思い浮かべて反応を示してしまうのは、初めての経験をして興奮してしまったからだろうか。  それとも……。  自分で考えた所で、毎回答えは出ない。それでも真琴は自分の手を動かし、快感を追う途中で今日もその事について考えてしまった。 「んんっ……ゆう、とっ……」  閉じた瞼の裏で勇仁の姿を映しながら、真琴は名前を呼んだ。実際は自分の手で扱いているにも関わらず、目を閉じて想像するだけで、脳内では勇仁の口内を出入りしている様に変換された。  絶頂が近付いてきたのを感じると、閉じていた目をパッと開ける。側に置かれたティッシュボックスを掴んで数枚取り出すと、真琴は高ぶっている自身へ被せてその中へと欲望を吐き出した。  友人にされた事を思い出して、名前を呼びながら自慰行為に耽ると、どうしても汚している気がする。毎回、終わった後に急にやってくる後ろめたさから、気分が落ち込んでしまっていた。  最近はまともに顔を合わせていない為、想像する勇仁の姿もぼんやりとしたものになってきている。ハッキリ想像出来ていない分、変に美化されているのかもしれない。  この状態で本人と会って改めて顔を確認すれば、想像との違いに目が覚めて、この行為も終わりを迎えられるのではと考えた。  そんな僅かな期待もあって、真琴は勇仁と話す機会を作ろうと、前向きに考えようとしていた。  染谷から勇仁は自宅に戻っていると聞いている為、自分が勇仁の家へ行けば確実に会えるだろうと思って、いつ実行しようか計画を立て始めた。
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