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 真琴に背を向けて寝ているせいでちゃんと確認出来ず、相手の顔を覗き込むようにして見た瞬間、真琴は驚きすぎて声にならなかった。  叫ぶ事は無かったが、反射的に布団を掴んでいるのと逆の手で口元を覆った。 (一体、どう言う事だ……!)  まばたきを繰り返して再びジッと相手を見つめるが、未だに信じられなかった。  これならば、相手の顔を知らないままの方が良かったのではとさえ思えてきた。そうなったらなったで、モヤモヤする日々が続いていたとは思うが、見てしまった今は慌てふためくしかなかった。  時間が経って落ち着く所か、真琴の頭は混乱して考えが上手く纏まらない。 「な、んで……だよ……」  未だ呑気に寝ている相手の寝顔に向けて、ぼそっと呟いた。当然だが、何度確認してもそこにはさっき見たのと同じ奴の寝顔があるだけだ。 (ありえない……何でこいつがここに……)  それでも真琴は、目の前の事実を受け入れる事が出来ないでいる。  何故ならば、布団の下から顔を覗かせた人物は、真琴がよく知っている友人の山田勇仁だったからだ。  目覚めてから驚く事の連続だったが、自分の隣に勇仁が寝てる事が一番衝撃だった。  真琴が知っている勇仁はといえば、友人の中でも群を抜いて女好きだった。  そんな勇仁が、素面の状態で自分を相手にするなんて考えにくい。  これがもし、真琴の身体に痛みがなければ、酔っぱらった自分を介抱してくれただけだと自信を持って思えた筈だ。 「はぁ……」 「んん……かわい……」  真琴がため息を吐いた後に、勇仁が喋り出したのでビックリした。直ぐにそれは、寝言だと気付き安心出来たが。
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