【6】

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 操作が簡単なパズルゲームだったのだが、複雑な操作じゃない分、やり始めるといつの間にかのめり込んでしまっていた。気付けばあっという間に三十分が経過した所だった。  そのゲームにも飽きてきた真琴は、画面から視線を外して顔を上げる。未だ勇仁が帰ってくる気配はなく、背伸びをして立ち上がった真琴はキョロキョロと見まわした。 「あっ……」  外をぼんやり見ていると、少し離れた所で勇仁の姿を捉えた。向こうに気付かれる前に真琴はしゃがみこんで姿を隠す。  後少しすれば、勇仁が帰ってくる。  それが分かった瞬間、真琴の元へ再び緊張が走った。  いつ帰ってくるか分からない状態で待つよりも気持ちは幾分か軽くなったが、それよりも今は動悸が激しくなりすぎて気持ち悪くなりそうだった。  大した心の準備も出来ないまま、勇仁が帰って来てしまう。階段を上がる足音が近くなってきて、真琴も背筋を伸ばしてやって来る方向を向いた。 「……まこ」  直ぐに勇仁が現れて、お互いに目が合った。  会う前は顔すら見れるだろうかと思っていたが、意外と普通に見れる事が出来た。久々に見た所為か、何となく懐かしい気持ちにさせられる。  勇仁の方はといえば、目を見開いたままで真琴を見ていた。暫くして真琴に待ち伏せされていたのだと理解した勇仁は、踵を返して再び背を向けようとした。 「勇仁っ!」  少し覚悟はしていたものの、何も言わずに真琴を避けようとする様子が、ぐさりと胸に突き刺さる。  このまま何も言わなければ、また大学の時と同じになると思い、咄嗟に勇仁の名前を呼んだ。幸いにも効果はあったようで、勇仁が立ち去ろうとする足をピタリと止めてくれた。
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