【6】

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「勇仁、オレ……」  出来る事なら少しでも、こうなった理由を勇仁の口から聞いて知りたい。そんな思いが真琴を突き動かし、話し掛けながら勇仁の方へ近寄った。 「……なんで、ここにいる」 「勇仁……?」  真琴が隣に並んだ瞬間、勇仁は低い声でそういった。それを聞いた真琴は、聞き返す様に名前を呼んだ。 「なんで、ここにいるって言った」  勇仁の口から、再び同じ言葉が出た。それが少し責められている様に感じて、連絡をせずに来た事を怒っているのかもしれないと思った。 「いきなり来て、ごめん。オレ……勇仁とちゃんと、話したくて……」 「何で、俺がここに戻ってるって知ってるんだ?」 「えっと……染谷に会った時に、聞いた」 「そうか……あいつ、余計な事を」  久々に勇仁と会話が出来て、真琴の胸に嬉しいという気持ちが込み上げてくる。しかし、染谷の話をした瞬間、勇仁が漏らした言葉にその気持ちが打ち消された。 「……きゅ、急に来て……迷惑、だよな。オレ、帰るわ。大した用じゃなかったし」 「まこ?」  一気に沈んだ気持ちを浮上させる事が出来ず、俯いたままで真琴は勇仁を追い抜かして帰ろうとした。 「おい、待てよ」  階段を一段降りた瞬間、勇仁の手が伸びて真琴の腕を掴んだ。 「帰るから、離してくれよ」 「まこは俺に用事があったんだろ? 帰るなら、話してから帰れよ」  自分が迷惑そうにしたクセに、その言い草はなんなんだ。  そう思った真琴は、掴んでる勇仁の手を振り払おうとした。
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