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手で頭を抱える仕草をした勇仁からも聞きたい事があると言われて、真琴は思わず聞き返してしまった。自分が質問した事を後回しにされたのに、先に知りたくなって目線を勇仁人に向ける。
「じゃあ先に聞くけど、ちゃんと隠さずに言えよ? まこ、彼女とはいつから付き合ってるんだ?」
「え……?」
ちゃんと向き合わなければと思って身構えていたのに、勇仁から言われた事を聞いて真琴は拍子抜けしてしまった。
「まこ、どうなんだ?」
あの時、否定した筈なのに……。
そう思ったが、あの時は途中で遮られてしまった為、勇仁はまだ砂川の事を彼女だと思っているらしい。
しかも先に聞く程の事かと思うと勇仁の思考が理解出来ず、真琴はまさに呆れて物が言えない状態だった。
あの日、砂川の誘いに乗ってご飯へ行かなければ、あんな事にはならなかったのかと思うと、少しだけ後悔しそうになる。
「勇仁……前も言ったけど、オレには彼女なんて居ないって。逆に知りたいんだけど、何で、毎回そこまで疑うんだよ?」
果たして、聞いた所で勇仁がちゃんと答えてくれるか分からない。それでも、いい加減その疑いから解放されたくて問いかける。
「やっぱ、気付いてなかったのか。この際だから言うけど、まこが俺に連れられてここに来た日の事、覚えてるか?」
「え? ああ、看病するって連れてきた日だろ?」
何かを隠してた事がある様な勇仁の言い方に、真琴はやっと理由が聞けると思って正直に答える。
「あの日……買い出しから戻ってきた俺は、眠ってるまこに布団を掛け直そうとして、首筋にキスマークが付いてるのを見たんだ」
「え……」
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