【6】

13/37

745人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
 告白だけでも驚いたというのに、勇仁が随分前から自分に想いを寄せてた様な言い方をしたので、更に驚いた。  驚きすぎてまともに話せない状態だった筈なのに、つい声に出して聞いてしまった。 「いつからって言われたら微妙なんだけど。最初は……ご飯食べてる時のまこを見るのが好きだったな」 「え……」  少し遠い目をして話し始めた勇仁から、思いがけない言葉がやってきた。まさかそんな事を言われるとは、思ってもなかった。 「美味しそうに食べるなぁと思って見てて、見てるこっちも不思議と嬉しくなってさ。けど……いつだったか、まこが学食の味噌汁を飲んでる途中で噎せてさ、口の端から汁が垂れて顎の方まで流れてた。それがなんかエロくて……俺の目に焼き付いたんだ」 「いつの、話だよ……」  そんな事があったのも真琴は思い出せないし、勇仁からそういう風に見られた事にも気付かなかった。 「俺もいつかは忘れた。けど、それからまこがご飯を食べる時、違う目で見る様になってさ。出来るだけ一緒に食べる機会を増やしたいって思って、まこをご飯とか飲み会に誘ってたんだ。多分、その時から恋愛感情があったと思うんだけど、自覚はなかった」 「そう……なんだ」  一体、ご飯を食べている時の真琴の姿は、勇仁にどう映っているのかと気になった。  自分ではどんな顔して食べているのかが分からないが、今までずっと勇仁に違った目で見られていたのかと思うと、無性に恥ずかしくなった。 「意識したのは……大学でまこが知らない奴とご飯食べながら笑ってたのを見た時かな。俺以外の奴とご飯食べてほしくないって思ったし、笑顔を別の奴に向けてる事に、あの時はすげー嫉妬したな」 「でも、勇仁はいつも、女の子と遊んでたじゃないか……」
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

745人が本棚に入れています
本棚に追加