【6】

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 勇仁が話す内容に、真琴は驚かされるばかりだった。まさか、自分の事で嫉妬しているなんて考えもしなかった真琴は、その理由を口にした。  誰だって女の子と派手に遊んでいる勇仁の姿を見て、男の真琴に思いを寄せてるだなんて思えないだろう。 「あー、そこ言われると弱いんだけど。自覚してもまこに告るつもりなかったからさ、そこは割り切って発散させてもらってたんだ」  ばつが悪そうに言う勇仁の姿を見て、真琴は意外だと思った。  いつもの勇仁なら平然と話すのになと思うと、目の前の男は自分に対して本気だという事が伝わってきた。  それが分かった瞬間、真琴の心臓がドクンと音を立てて鳴った様な気がした。 「てか……俺への質問はそろそろ止めにして、まこも何か言って欲しいんだけど?」 「え……?」  掴んだ真琴の手を持ちあげた勇仁が、その手の甲に唇で触れた。 「わわっ、勇仁、何して……」  少し湿った唇が押し当てられた瞬間、真琴はビックリして手を引こうとした。しかし、掴んでる勇仁の手が阻止して離さない。 「まこ……言ってくれよ。前は全く望みがないと思ってたけど、恐らくホテルに行ってからだろうな。まこが今みたいに俺を見て動揺する事が増えて、ちょっとは見込みあるのかなって、期待したりするんだけど……」 「えっと……」  急に気恥ずかしくなって、言葉を詰まらせてしまった。真琴が躊躇ってる間にも、勇仁は掴んだ手へのキスをやめない。  イケメンは何しても様になるし、唐突にこんな事までされれば、この妙な雰囲気に流されてしまいそうだ。  きっと今までも、勇仁は遊んでた女の子に同じ事をして落としてきたに違いない。
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