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「まこ……」
耳元で囁くように再び名前を呼ばれて、真琴はハッとした。
「い、いきなり、何……するんだよ」
「何かさ、俺……嬉しいんだけど。まこが俺の女関係に嫉妬してるみたいに聞こえて……」
「ばっ……そんな事、あるわけ……ない」
勇仁に勘違いさせないよう否定をしなければと思って、慌てて口にしたが喋っていくうちに尻すぼみになってしまった。
こうなったのも全部、勇仁が悪い。
いきなり告白してきたり、真剣に口説いてると言ってみたり、予想外の行動まで取ったりして……。
される度に真琴は反応に困り、浮ついた気持ちを抑えるのに必死になって落ち着かないのだ。
今だって、抱きつかれる事で重なった所から、勇仁の体温が伝わって真琴の心拍数を上げていく。
「まこ……さっき俺に、ヤッた事実を知って、嫌悪したかって聞いたよな? まこの方こそ、どうなんだ?」
「それは、どういう……」
「今、こうして抱きついてるのもそうだし、前に俺が口でイかせた時も、まこは嫌悪しなかったのか?」
勇仁からの問いかけは、またしても真琴を困らせる。自分が勇仁に言った言葉が、こういう形で返ってくるとは思わなかった。
振り返って考えてみるが、ピッタリ当てはまる答えは浮かんでこなかった。
暫く何て言おうかと考えたが、何も浮かばなくて、思ってる事を何も繕わずにそのまま言葉にする。
「嫌悪は……なかった。けど、それでオレも勇仁と同じ意味の好きかと聞かれたら……それは分からない」
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