【6】

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 勇仁と理由は違っているけれど、真琴も同じ様に記憶がないまま抱かれた日の事を引きずっていた。  あの日の事を忘れて、新たに記憶に刻みたいと思う気持ちは真琴も同じだった。  聞いてきた勇仁にゆっくりと頷いた後、真琴は身を委ねる様にそっと目を閉じた。 「っ……あっ、あっ……」  勇仁の口と指で胸を弄られながら、真琴は与えられる刺激に耐えきれず声を上げる。  最初は触れられてもくすぐったいだけだったのに、入念に触られる内に敏感になってきて、今では声が出るまでになってしまった。 「まこ……かわいい。もっと、声聞かせて」  刺激を与える合間に囁く勇仁の声。それには甘さが含まれていて、真琴は耳からも刺激を与えられてる様な感じがした。  いつも聞いてた筈だった勇仁の声が、こんなにも違って聞こえるのは、恋愛感情が宿ったからだろうか。  もしかすると、自分が発してる声も勇仁の耳には同じ様に、甘く聞こえてるのかもしれない。  もっとも、真琴の場合はまともに喋れる余裕はなく、殆ど喘ぎ声に近いものだったが。 「勇仁っ……んっ、そこは……」  胸に触れていた勇仁の手が真琴の身体を辿っていき、服の上から下肢へ触れてきた。  与えられた刺激で既に反応を示していた。そこへ勇仁の手に触れられた事で、真琴の身体はビクッとなった。 「まこ、ちゃんと感じてる」 「っ……たり前、だろ……」  真琴の反応を見て勇仁が嬉しそうに話す。やわやわと触って刺激を与えられ、その気持ちの良さから息を吐き出し、真琴は途切れがちに答えた。 「ほら、まこの反応見て、俺も……」 「うわっ……」
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